2016/07/25

鈴木八郎、過酷な庭 2/2


(承前)

昭和13年、日中戦争のなかにあって近衛文麿内閣が国家総動員法が施行した。写真家鈴木八郎が上梓した「わが庭を写す」の表紙には、三輪車を写した白黒写真が載せられている。蔦のしげる家の壁、開き窓のした置かれた三輪車は、子供の使う玩具にもかかわらず大きな存在感を放っている。簡素な構造だが機能的でどこか神経質な感じもある。揺れ動く時代のなかで国や社会の思いを仮託されたかのような形にも見える。