2012/07/15

ジェリー・ウエルスマンの転置


ロートレアモンのいう「手術台の上のミシンと蝙蝠傘の偶然の出会い」は、デペイズマン(depaysement) の例としてしばしばとりあげられる。デペイズマン、転置とも訳されるこの言葉は、故郷からの追放あるいは本来あるべき場所から移動させることで生じる違和感のようなものをさし、シュルレアリストたちが制作に多用した概念だ。
ジェリー・ウエルスマン(Jerry Uelsmann,1934-)の写真も、このデペイズマンが用いられる。

2012/07/01

マリオ・ジャコメッリのいた町


凝視は細部の発見をもたらすと同時に、全体像の崩壊にいたることもしばしばある。凝視による文字の崩壊などは、だれしもが経験ずみのことだろう。たとえば漢字をじっと見つめていると、直感的に理解できていたその意味が不明になり、見知らぬ記号あるいは模様となってしまうことがある。あるジャンルの写真はそれをめざしているのかもしれない。自明である日常の崩壊を。
敬愛する写真家のひとりにイタリアのマリオ・ジャコメッリ (Mario Giacomelli, 1925-2000) がいる。アドリア海に面したイタリア北東部の小さな町セニガリア(Senigallia)に生まれ、その町で暮らしながら写真を撮り続けた。