2010/08/21

アヴェドン 私小説的肖像 3


アヴェドンの肖像写真には、辛らつさとユーモアがある。自身を撮ったポートレートにもそれは滲んでいる。その奥に見据えているのは、生々しい個人の生の形だが、それを生で提示するようなことはしない。功成り名を遂げた人々を彼は撮るときもそうだ。それがドキュメンタリーでありながら、アヴェドンなりの味つけがなされる。それが彼のやり方だ。

2010/08/19

アヴェドン 私小説的肖像 2


多木浩二は「肖像写真」のなかで、はじめてアヴェドンの写真に興味をもったのはシチリアのノトで撮った少年の写真(Noto, Sicily, September 5th, 1947)だと明かしている。多木はこの写真について書いた文章を引用する。

2010/08/17

アヴェドン 私小説的肖像 1


文学が人間の諸相を捉えようとするものなら、写真もまたその側面をもつ。コロンビア大学に入学してまもなく自らの文学的才能に見切りをつけ、リチャード・アヴェドン(Richard Avedon, 1923-04)は父親から譲られたRolleiflexを手にした。

2010/08/14

渡辺兼人、日常の漂白


漂白の匂いがする写真家だ。80年に金井美恵子との共著「既視の街」が出版。翌年、ニコンサロンで同名の写真展を開き、木村伊兵衛写真賞を受賞する。渡辺兼人(Watanabe Kanento,1947-)、34歳のときである。

2010/08/10

ヘレン・ファン・ミーネの少女たち





人は人に惹かれる。だからこそ人の顔に眼がいく。だが顔は謎だ。ポートレートを撮る写真家は、その謎に眼を凝らす。謎を炙りだそうとする。これまで多くの写真家がそうしてきた。しかし、最近になってむしろ顔やその表情に意味をもたせることを拒否するようかのような流れがある。風景写真が無機的でフラットにな様相を呈していったように。風景からの逃走、意味からの逸脱。

2010/08/01

ブラッサイの視線 2


ブラッサイが後世に名を残すのは、やはり名著と呼ばれる『夜のパリ』(Paris de Nuit)を出版したことによる。32年のことで、ブラッサイ33歳のときだ。文字通り夜間に撮影したイメージが64枚、そこに掲載されている。そこでは、昼間とはまったく異なる人間たちが集まり、街は違った表情をみせる。