2010/06/26

エレン・サマーズ、踊りと映像 1



ダンスの素晴らしさ、あるいは優位性ともいうべき要素は、その一回性にある。二度と再現できないという刹那の芸術が纏っているのは、一瞬の形と場の感覚だろう。



ドガをはじめ、これを写しとろうとした者は多い。コレオグラファーのエレン・サマーズ(Elaine Summers)も充分にこの一回性を理解していたはずだ。しかし、彼女が試みたものは、やや過去の芸術家たちのそれとは異なる。サマーズはダンスと映像のちょうど中間にいた。踊りを演出し、映像を監督したおそらく最初の人だろう。その試みは、たとえばバウハウスのオスカー・シュレンマーなどとも異なる。サマーズはダンサーでコレオグラファーであり、同時に映像作家だった。

アメリカの実験映画を切り拓いたジョナス・メカス(Jonas Mekas, 1922-)は、1964年にニューヨークのジャドソン教会で見たサマーズの「FANTASTIC GARDENS」を見て、同地の週刊紙「Village Voice」にこう書いている。「美的経験を作りあげるため、映像と身体動作を組み合わせたもっとも成功した野心的な試みだ」と。

サマーズはジャドソン・ダンス・シアター(Judson Dance Theater)を立ち上げた草創期のメンバーの一人で、当時は同教会に集まってダンスに向きあっていた。興じるというよりも、かなり真摯な態度だったように思われる。ただし正式な団体ではなく、前衛的なダンスを試みる者たちのグループだった。これがのちにポストモダン・ダンスの源流となる。(つづく)

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